いきなり逆説的な文章から始まってしまうのですが、近年、18歳~50代のほぼ100%と言える人がスマホやケータイ(以下スマホ)を所持するようになり、その分、腕時計をする人が減ってきているのだそうです。
”その分”というのもおかしな表現なのですが、実際のところ、今では腕時計よりスマホ画面を見る機会の方が圧倒的に多い人も多いはずで、そしてそのスマホ画面には時計が表示されています。
また、日々の生活の中では、連絡ツール・情報ツールとしてスマホのバッテリーを切らさないよう気を配る事が重要で、日々欠かさず充電を行うことが日課の1つになっている方も多いかと思います。
スマホ画面には常に時計が表示されていて、尚且つ 『日々充電を行う』 という作業に何の抵抗もないスマホに対して、自分では充電も電池交換もできないのが腕時計・・・という存在。
つまり、たぶん、腕時計の電池が切れた時点が1つの分岐点となっていて、で、
『・・・電池交換するしかないか。。』
『でもスマホがある今、自分にとって腕時計って必要か??』
『・・・しばらく、腕時計なしで様子をみてみるか。。』
こんな感じで、結局そのまま腕時計をしなくなった人も多いのではないでしょうか。
実際、単に 『時間を知る』 という意味だけで考えれば、今の時代 別に腕時計なんてなくても、家でも会社でも、駅の構内でも街中でも、そしてクルマのダッシュボードやパソコン画面の右下でも、どこかしら ”時計” はあるもので、もしかしたらスマホの画面すらさほど見る必要はないのかも知れません。
では、そんな今の時代において、腕時計の存在意義ってどういうところにあるのでしょう?
ありきたりな表現になりますが、まず最も実用的な意義としてはやはり ”ビジネスシーン” で、特にお客様と接する機会が多い立場の人にとっては 『スマホやケータイを時計替わりに』 という訳には絶対にいきません。 特に最近は、チラチラとスマホ画面を見るのはいろんな意味でマナー違反とされる傾向もあり、たとえ仕事上の必要でスマホ画面を見ていたとしても 『ポケモンGOでも気になっているのか?』 と思われてしまう可能性も無きにしも非ずです。
また、腕時計は身だしなみ的な意味で手元に華を添える存在としてファッションの一部でもありますし、その人の趣味や好み・センスなど ”ひととなり” を現す場合もあります。
時計が時計である以上、一番の目的は当然 ”時を計る” ことなのですが、腕時計の場合は、その本来の目的の他に、人それぞれの大きな 『存在意義』 が含まれるものだと思います。
それら、時計としての本質的な機能・性能の部分と、人それぞれの腕時計の位置付け的なニーズの部分があいまって、各メーカーから様々なデザイン・機能を持った腕時計が発売されているのですが、それらを総括して、現在は 『電波式ソーラー(光発電)腕時計』 の人気が高まっているようです。
ちょっと余談となってしまうのですが、先の 『人それぞれの存在意義』 的な部分として、筆者の場合について少しお話させてください。
筆者自身は、別に時計職人というわけでもなければ時計メーカーの人間でもないのですが、子供の頃からメカニカルな動作機械が好きで、『精緻・精密・精度』 といった辺りのキーワードに惹かれる自覚症状があります。
中でも、腕時計はその技術と叡智の結晶のような気がしていて 『この小さなケースの中に何百もの部品が詰まって正確に時を刻む』 という部分に、単に ”モノ” としてだけではない、何とも言えない魅力というか、モノ造りに懸ける人々のロマンのようなものを感じてしまいます。
この辺りの事に関して、非常に興味深い番組がありますので、2つご紹介します。
それぞれ、結構長い動画となっているのですが、面白くて時間を忘れてしまいそうな内容です。
上のような動画を見ていると、やはり機械式こそが時計の原点であり、筆者個人的には憧れる部分も大きいのですが、ただ、実用面とか後々の維持のことを考えると、どうしても腰が引けてしまうのも事実です。
動画に出てくるような腕時計は、それぞれ1作品あたりクルマどころか都心部のマンションにも匹敵するような価格なので、筆者のような庶民にとっては雲の上をはるかに通り過ぎて太陽系の彼方のような存在なのですが、例えば機械式腕時計の代名詞とも言えるロレックス(※)であれば、モデルによっては無理を5つくらい重ねれば何とか筆者でも購入できないこともないかも知れません。 ※実際にはロレックスにもクオーツ式時計はあります
ただ、機械式高級腕時計の場合は購入時の予算だけでは済まなくて、ほとんどのメーカーで3~4年毎のオーバーホールが推奨されているのですが、そのオーバーホールの基本料金がおおむね50,000円程度と言われています。
もちろん、国内老舗メーカーのセイコーやシチズンでは今でも機械式腕時計が製造・販売されていて、特にシチズンでは2016年に機械式腕時計の 『クラブ・ラ・メール』 が復活して話題にもなりました。
ただ、日本で国産機械式腕時計を所有する場合は1つ考慮したい点があって、実は先日、筆者の親しい時計屋の店主さんとお話する機会があったのですが、その店主さん曰く、『10年以上前の古い機械式時計の修理は、とりあえず一旦は お断りするようにしている』 との事。
何故かと訊いてみますと、
だから、それら全てを説明した上で とりあえず一旦は お断りするようにして、『お客様にとって、それでも修理をすると判断された場合は、全身全霊を掛けて修理させていただく』 との事でした。
考えてみれば確かにその通りで、例えば元々が10万円の時計を5万円掛けて修理するか? と言われると、恐らくよほど事情のある腕時計でもない限り、ほとんどの人はその5万円で新しい時計を買う方を選ぶのではないでしょうか。
ロレックスなど元々が超高価なのは、仮に部品が無くなっても、その部品を材料から手作業で造れるだけの時計師が何人もいるからかも知れないですし、また購入者にとっても、ある意味 『そうでなければ修理してまで使い続ける気にならないから』・・・なのかも知れないですね。
さて、少しお話が逸れてしまいましたが、そんなこんなで、現在では 『電波式ソーラー(光発電)腕時計』 の人気が高まっているようです。
先ほどから ”電波式ソーラー腕時計” と書いていますが、基本的に ”電波式” であることと ”ソーラー式” であることは別の機能となっていて、
・電波式だけどソーラー式ではない モデルもあれば、
・ソーラー式だけど電波式ではない
モデルもあります。
『電波式時計(電波時計)』 とは、標準電波の放送局が設置されている国(標準電波の放送を受信できる場所)で使用する場合は、時刻のズレが自動的に修正される時計を指します。
自動的に修正されるため、基本的には 時刻を手動で調整する必要がありません。
『ソーラー式(光発電)時計』 とは、照度のある使用下ではその明かりを元に発電する光発電システムを備えた時計の事を指します。
時計自体が発電を行うため、基本的には 電池交換を必要としません。
上記両方の機能を有する ”電波式ソーラー腕時計” の場合、基本的には
『時刻合わせも電池交換も不要で、ひたすら正確に時を刻み続ける』
という、ひと昔前ならとても考えられない、夢のような腕時計、という事になります。
まず、よくひとくくりに ”電波時計” とまとめてしまいがちになるのですが、実は正確には 『電波時計』、『衛星時計』、『GPS時計』 の3つに分類されます。
これらはそれぞれ、以下のような違いがあります。
先ほど少し触れましたが、現在では、地球上の各国・各地に 『標準電波の放送局』 というものが設置されています。
”各国” と書きましたが、放送局が設置されていない国もあります。
この放送局が、何をして何を放送しているかと言いますと、各放送局には 『原子時計』 という極めて正確に時間を刻む時計が設置されていて、その時計を基準として、今現在が、何年・何月・何日・何時・何分・何秒である、という電波を発信しています。
日本の場合は、東北の福島と九州の福岡にこの放送局があって、この2局から発信される電波で日本全域がカバーされている・・・という事になっているのですが、実はこの電波の到達距離がおおよそ1,000kmとされているため、『先島諸島』 と 『小笠原諸島』 は電波到達範囲外となります。 そのため、日本国内ではあるものの、これらの地域に電波時計を持って行っても電波時計としては機能しません。
同様に、標準電波の放送局が設置されていない国や、その国の放送周波に対応していない電波時計は電波時計として機能しなくなります。
ただ、電波を受信した自動修正は行わなくなるものの、普通のクオーツ時計としては普通に動作します。
これに対して、衛星時計の場合は、放送局からの電波ではなく、衛星からの電波を受信して時刻修正を行います。
衛星からの電波のため、先の 『先島諸島』 や 『小笠原諸島』 はもちろんのこと、砂漠であろうと太平洋のど真ん中であろうと、地表(近く)にいる限りは電波を受信して時刻修正が行われます。
海外に出掛けた場合も、その国に放送局があるかとか、その国の放送周波に対応しているかどうか等は一切関係なく、どこにいても正確に時刻修正が行われます。
ところで、”GPS” というのは 『全地球測位システム』 の英略称ですが、これは複数の衛星(最低4基)からの電波を受信することで初めて位置が特定される、という原理のものです。
衛星時計の場合は、衛星1基からの電波を元にしているため、GPS としての機能 = 位置情報機能は持ち合わせていません。
そのため、例えば海外に出掛けた場合でも、時計自体は、それが海外なのか日本国内なのかの判断ができません。
地球上のどこにいても常に正確に時刻修正を行うものの、それは常に ”日本時間” で行われることになります。
もちろん、衛星時計には国(タイムゾーン)ごとに時差を修正する機能が備わっているのですが、その ”今どのタイムゾーンの国にいるか” の設定自体は、常に人間の手で行う必要があります。
これに対して、GPS時計の場合は文字通りGPSの機能を有しているため、位置情報(現在どのタイムゾーンの国にいるか)の解析から、時差を含めすべて自動で修正するモデルが多いです。
海外など、タイムゾーンの異なる国を頻繁に移動する人にとっては極めて便利な、理想的な機能と言えるのではないでしょうか。
電波時計は年々進化しているのですが、基本的には、
という形で進歩していて、現在は 『2:多国電波対応』 と 『4:GPS対応』 の2つが主流となっているようです。
2の場合も、受信した電波の周波から、その周波がどの国の放送局のものかを割り出して、時差を自動調整するモデルもあるようです。
ただ、もし、1つの放送局の電波が複数のタイムゾーンにまたがって届いている場所があった場合、その場所にいる時は時差を手動で調整する必要が出てくると思われます。
電波時計は、もしかしら今後も筆者には想像もできない部分で進化して行くのかも知れないのですが、とりあえず ”GPS対応” となった時点で、機能的な意味ではほぼ完成されているような印象で、あとは、光発電パネルや二次バッテーリーの進化とか、小型化・薄型化、といった辺りをメインとした技術進歩になってくるのではないでしょうか。
スマホやデジタルカメラなど、現在では日常的に電子機器を持ち歩くことが多くなってきましたが、電子機器が電子機器である以上、バッテリーの ”持ち” や ”劣化” は切っても切れない切実な問題となってきます。
充電式機器の場合、現在はリチウムイオン式のバッテリーが主流となっているのですが、このバッテリー、どんな機器でも最初の内はそれなりにバッテリーの性能も良いものの、使用している内に、体感的に分かるくらいバッテリーの ”持ち” が悪くなってくるのを経験された方も多いのではないでしょうか。
また少し余談となってしまうのですが、例えばスマホを使っている人で、家に帰れば必ず充電する、という方も多いかと思うのですが、もしその時、バッテリーの残量が90%ほど残っている状態だとすると、それを図にするとこんな感じになります。
この時、仮に普段はほとんど残量10%くらいのギリギリまで使っていて、残量90%の状態から充電することなど滅多にない・・・という方ならほぼ問題はないのですが、もし、ほとんど毎日のように残量90%くらいからの充電を繰り返しているようでしたら要注意です。
実はバッテリー充電というのは、イメージとしては、サラサラの水をコップに注ぎ足すようなものではなくて、粘性の高いペンキを綿に染み込ませるようなイメージに近いと言えます。
そのため、常に表面の10%程度だけを使っては充電するような使い方をしていると、バッテリー内の残り90%部分は全く流動しない状態が続いて、それが底の方から固まってきて結果として使える容量が徐々に減ってきてしまう・・というイメージに近いです。
これが ”バッテリー劣化(メモリ効果による容量低下)” のイメージなのですが、こうなってきますと、満充電から同じ量(時間)だけ使ったとしても、使用できるバッテリー残量との比率が大きくなりますので、結果として 『ちょっと使っただけでメモリが1つ減ってしまう』 ように感じられるようになってきます。
ただ・・・その一方で、一般的に 『リチウムイオンの場合はメモリ効果を気にする必要がない』 と言われているのも事実で、そうなると上の説明では容量低下の説明として矛盾してくることになります。
そこで最近では、『バッテリーは ”満充電” の状態が長いほど劣化しやすくなる』 という説と、『高温多湿の環境で使用するほど劣化しやすくなる』 という説が有力とされているようです。
ですので、(実際には難しいとは思うのですが)出来ることであれば、日頃から 『ほぼ満充電 → 残量10~20%まで使用 → ほぼ満充電』・・・という使い方をしている方が、バッテリーの劣化を防いで長持ちさせることが出来る、と言えそうです。
ソーラー時計のお話に戻りますが、ソーラー時計の場合も、発電そのものは文字盤部分のソーラーパネルで行いますが、その電力は内臓されている二次バッテリーに蓄えられます。
先ほど ”基本的には” 電池を交換する必要がない、と書きましたが、ソーラー時計の場合 『電池が切れたから』 という理由でバッテリーを交換することは基本的にあり得ないような気がするのですが、でも 『電池がヘタって』 交換する必要に迫られる可能性は決してゼロとは言えません。
それどころか、単に 『駆動エネルギーの持ち』 という意味だけで考えますと、多機能なソーラー式時計より、電力消費の少ないシンプル機能の腕時計を ”10年電池” で使用する方が、結果としてバッテリー交換の頻度が少なくて済む、という場合も十分に有り得るお話となってきます。
この辺は、光発電パネルの寿命(経年劣化による発電効率の変化)や、そもそもソーラー時計自体をどんな環境や頻度で使用するかによっても変わってきそうで、例えば、夏場は半そでシャツなど時計の文字盤を露出させた状態で1年のほとんどを屋外で過ごす仕事をされている方と、スーツの袖で時計の文字盤を半分隠すような形で1年のほとんどをオフィスで過ごす仕事をされている方では、発電パネル自体の稼働状況や寿命が大きく変わってくるような気がしますし、また二次バッテリーの平均的な充電度合いや劣化の度合いも変わってくると思います。
また、1本のソーラー時計だけを毎日使用する人と、数本の時計をファッション的に取り換えながら使用する人でも、発電~バッテリ辺りに掛かる稼働状況は大きく変わってくるような気がします。
ですので、これは一概にどうとは言えないような気がしますので、これは筆者の、いち個人的な勝手な印象として読み流していただきたいのですが、仮に、会社に勤める一般的な日本人男性の生活パターンの中で、1本のソーラー腕時計だけを使い続けるとしますと、おおむねにおいて、光発電パネルの寿命(※)が約25年、内部二次バッテリーの寿命が約5~6年・・・という辺りが1つの目安になりそうな気がしています。
(※最低限、時計を支障なく稼働させるのに必要な発電効率を維持できそうな期間。家庭用太陽光パネルの場合、2016年時点で各メーカーが出力保証している期間がおおよそ25年前後となっていることから、太陽光パネルほど過酷な稼働環境にはならないため+10年、太陽光パネルより衝撃や振動が加わる可能性が高いため-10年、と予想)
いづれにしましても、人それぞれの使用環境や頻度によって、トータルとしての各種効率や寿命も変わってくるものだと思います。
モデルによっては、その時その時の明るさでの光発電パネルの発電量やバッテリー残量が確認できるものもありますので、たまにはノンビリと文字盤でも眺めながら、機能チェックを兼ねて確認してみるのも良いかも知れないですね。
実は筆者は、27年くらい前に電池が切れてそのまま放ったらかしにしていた懐中時計(写真)と、24年くらい前に電池が切れてそのまま放ったらかしにしていた腕時計(いづれもクオーツ時計)を所有しているのですが、先日、ちょっと思うところがあって、両方とも時計屋に持って行って電池交換をしてもらいました。
ところが、27年前の懐中時計は無事に動き出したものの、24年前の腕時計は電池を交換しても針が動き出しませんでした。
時計は、内部歯車などの駆動部分に潤滑油が使用されている場合があって、あまりに長期間停止したままで放っておくと、その間に潤滑油が枯れてしまったり、経年劣化で固まってしまったりする場合があるのだそうです。
筆者のように、そもそも電池切れの状態で20年以上も放ったらかしにする事自体が間違いかとは思うのですが、では、極論として、
という意味では、どちらの方が 『寿命が延びる』 と言えるのでしょう。
厳密に検証することは非常に難しいことですので、これも、筆者のいち個人的な勝手な想像に過ぎないのですが、筆者は ”動かしっぱなし” にしておいた方が時計の寿命は延びる・・・ような気がしています。
理由は単純で、実は筆者の家には、35年前に知人から頂いた掛け時計(毎時ちょうどに箱が開いて人形が回転するからくり時計風のもの)があるのですが、35年間、特にメンテなどしていないにも関わらずいまだにキチンと動いているからです。(ただ、もともと同時に電子音の音楽が流れるようになっていたのですが、この部分は壊れています)
それ以外にも、勤め先の会社に2つ、正確な期間は忘れましたが恐らく20年以上故障もなく動き続けている時計がありまして、その一方で、昔は部署として使用していたのが今は倉庫になっている部屋があるのですが、そこに先述の2つと同じ時計(恐らく同時期に購入したもの)が掛かっているのですが、こちらの方はずいぶん前に電池が切れたまま放ったらかしの状態となっていました。 今回、この記事を書くにあたって電池を持って行って動くか試してみたのですが、こちらの時計は電池を入れ替えても動きませんでした。
もしかしたら皆様のお宅や身の回りでも、(電池交換はしているとは思いますが)『考えてみれば、もうかれこれ20年近くは動いているカモ』 という時計は結構あるのではないでしょうか。
腕時計と、懐中時計や掛け時計を同列で比較するのは正しくないのかも知れないのですが、ともあれ筆者個人的には、『時計は動かし続ける方が寿命が延びる』 ように感じられています。
電波式ソーラー時計は 『止まることなく常に正確な時間を刻み続ける』・・・というのが最大の ”売り” となっているハズなのですが、ところが実際には、使い方次第で、電波式ソーラー腕時計は結構頻繁に止まってしまいます。
これは故障とか不具合という意味ではなくて ”そういう仕様になっているから” なのですが、暗い場所や照度の低い場所にある程度以上放置すると 『パワーセーブモード・省電力モード』 が作動して、動きが止まるようになっているモデルが多いです。
恐らく、電波式時計は一般的なクオーツ時計より消費電力がはるかに大きいと思われるのですが、消費電力が大きいにも関わらず、机の中など暗所にしまわれるとソーラー発電による給電が行なわれない状態が続いてしまうため、バッテリーが完全に切れてしまうことを防ぐための ”防御モード” として、パワーセーブモードが作動するのだと思われます。
そのため、机の引き出しや箱の中にしまっておいた状態から時計を照明下に出した場合、『休止していた状態』 から 『電波を受信(&光発電開始)』 して 『現在時刻を表示』 するまで、しばらくクルクルと針が動き回るような動作を見せます。
これはこれで、『お、頑張ってるな』 みたいな感じで見ていて面白いのですが、時には、電波状況が原因なのか発電照度が原因なのか分かりませんが、一連の作業を終えて時刻を表示する本来の状態で安定するまで、結構な時間が掛かる場合もあります。
これ、最初の内は確かに見ていて面白いのですが、でも本来の ”時計” としての意味では非常に不便な一面でもあります。
普通のクオーツ時計であれば、机の中であろうと箱の中であろうと電池が切れない限り常に動作し続けていて、箱から取り出した瞬間から普通に ”時計” としての役割を果たすのですが、電波ソーラー時計の場合はパワーセーブ状態から完全復帰するまである程度のタイムラグが発生します。
そのパワーセーブモードに入る条件が、机の中にしまった場合など 『ソーラーパネルから給電されなくなった状態が何日か続いた時点』 で判断されているようで、おおむね 3日 が一つの目安になるような気がします。
つまり、電波式ソーラー時計を3日以上使用しない状態(暗所にしまった状態)が続くと、次に使用した際に ”腕時計” として完全復帰するまである程度のタイムラグが発生する、ということになります。
腕時計に備えられたソーラーパネルは、実はそれほど発電能力は高くなくて、ほぼ空になった状態の二次バッテリーを満充電の状態まで充電するには、結構な・・・というより、実は相当に時間が掛かります。
ソーラー発電が行なわれるためには明るさ(熱ではありません)が必要になるのですが、この明るさの目安は、一般的に以下のように言われています。
その上で、最も明るい晴天時の直射日光に当てた場合で、バッテリーが空の状態から通常に動き出すまでで3~4時間、空の状態から満充電までだと実に24~25時間ほども掛かり、つまり朝8時から夕方4時までの8時間直射日光の下に置いたとして満充電まで3日掛かる計算になります。
実際、例えばシチズンのエコ・ドライブモデル(光発電モデル)の場合は、半月に一度、文字盤を直射日光に当てた状態で5~6時間の充電を行うことが推奨されているのですが、これはつまり、『2週間に一度は、南向きの明るい窓辺に1日中腕時計を置いておく ”充電の日” を作った方が良いですよ』 という意味になります。
正直、結構面倒ですよね。
もっとも、実際には、文字盤が袖に隠れない状態で普通に使っていれば、日々の日常照度の中でそれなりに充電されて特に支障なく使えるのですが、いづれにしましても、電波式ソーラー腕時計の場合は、『買った以上は、化粧箱や机の中などにしまい込んでしまわないで、できるだけ頻繁に使用する』 ことが大切と言えそうです。
『電波式ソーラー時計は、電池交換も時刻合わせも不要で、まったく手間いらずの便利な時計☆』
そんな印象を持っていた方も多いかと思うのですが、ここまで読んでいただいて、『・・・なんかちょっと思ってたのと違うな。。』 と、感じられている方もおられるのではないでしょうか。
実際、電波式ソーラー時計には、機械式時計ともクオーツ式時計とも異なる ”電波式ソーラー時計であるが故の留意点” があるような気がしています。
特にソーラー発電部分に関しては、『”電波式” の機能に掛かる消費電力の多さを少しでもカバーして、せめて普通のクオーツ時計と同等程度に電池交換の手間を省くために採用されている』というのが実際のところで、その上で『充電能力の低下による二次バッテリーの交換はいづれ必要になりますよ』、『2週間に一度は ”充電の日” を設けた方が良いですよ』・・・と、いうのが、本来正しい表現であるような気がしています。
”手間が掛からない” という意味では、結局、普通のクオーツ式時計が一番優秀なのではないでしょうか。
自動巻きでない機械式時計を愛用されている方は、毎朝、時計との会話を楽しむように竜頭でネジを巻くのが1日の始まりの儀式のようになっているのだそうです。
電波式ソーラー時計の場合、2週間に一度は ”充電の日” を設けた方が良いですよ、というのがそれに近いイメージで、そういう辺りの ”手間や留意” を、時計への愛着としてを楽しめる人に、電波式ソーラー時計は向いている・・・と、言えそうな気がしています。
実は筆者自身がそうだったのですが、近年、金属アレルギーで腕時計をしていると手首がかぶれてしまう、という方が多いそうです。
筆者の場合、子供の頃初めて買ってもらった腕時計が金属ベルトだったのですが、当時、喜んで毎日腕にはめながら汗だくになって遊んでいても全くかぶれたりしなかったのに、20歳を過ぎたあたりからかぶれるようになってしまいました。
また関係のない余談になってしまうのですが、例えば ”花粉症” の場合、直接の原因は(主に)杉の花粉であることは判明しているものの、何故杉の花粉で発症するのか、その理由は未だに分かっていないのだそうです。
これも、ひどい症状の人もいれば全くなんともない人もいたり、杉だけがダメという人もいれば杉以外の花粉でも発症する人もいたり、また、今までなんともなかった人がある時期を境に突然発症したりするそうで、統計的には、田舎の農村部より都会に住んでいる人の方が発症する割合が多いとも言われています。
花粉自体は、どう考えても都会より自然の山林が残る地方の方が多いような気がするのですが、でも都会で暮らす人の方が発症率が高い、という不思議な統計です。
これに関して、昨今は新素材や新建材・新塗料など、いろんな分野で、今までなかった新しい素材が開発されて実用化されていますが、それらの中に、本当は人間にとってあまり良くない成分が含まれているものもあるのではないか? という説があるそうです。
それら、極微量であれば特に影響は出ないものの、長年暮らす内に少しづつ蓄積されていて、その蓄積がある限界点を超えた時に発症してしまう。 だから、ある時期を境に突然発症するようになったり、そういう新素材が使われている確率の高い都会部に暮らす人の方が発症する割合も高い、というものです。
この辺りの真相は分からないのですが、でも確かにこの説には説得力があるようにも思えます。
ともあれ金属アレルギーの場合も、『メッキ類はだめだけどステンレスなら大丈夫』 という人もいれば、『ステンレスでもだめだけどチタンだったら大丈夫』 という人もいたりと、症状は人によって様々なようなのですが、現在のところ、最もアレルギーが出にくいのがチタンである、と言われています。
あと、素材そのものの特徴として、外寸が同じであれば、チタンはステンレスの1/2ほどの重さで ”作ること” が出来ます。
これも厳密にはちょっとややこしいお話になってしまうのですが、実はチタンという素材自体は、他の金属と比べて特別に軽いわけでも特別に強いわけでもないのですが、作り方によっては軽く・強く作ることができる、という素材なのだそうです。
電波式ソーラー時計の場合、発電量に関わるソーラー部分(文字盤部分)の面積とか、その発電を蓄える蓄電池部分や電波受信部分が必要となるため、一般的なクオーツ時計などと比べるとどうしても一回りくらいサイズが大きく、分厚くなってしまいます。
その一回り大きな機械の塊を、ステンレスで作れば結構な重さになってしまうのですが、チタンで作ればかなり軽く作ることができます。
例えば、初めて見るモノでも、その素材感や大きさから受ける印象で 『これを手に持つとだいたいこれくらいの ”重さ” だろうな』 という事が感覚的に想像できる部分があると思うのですが、そういう意味で、チタン製腕時計を初めて手に取ってみた場合、恐らくほとんど全ての人が 『軽い』 と感じると思います。
ただ、もちろん一概に ”軽いから良い” というものでもなくて、『見た目から受ける印象通りの重さがあったほうが存在感があって良い』 という方も当然おられると思うのですが、ともあれ、素材的な特徴のお話として、チタン製腕時計は軽いです。
実は筆者自身がそうなのですが、時計好きの方々にとっては、美しい文字盤の上をたゆまなく流れる秒針の動きをのんびりと眺めることが楽しみの1つになっている方も多いのではないでしょうか。
ところが、眺めているが故に気づいてしまう事があって、それが、針と文字盤のメモリとの ”微妙なズレ”・・・。
実は電波式腕時計の場合、衝撃や磁力などの影響で、秒針・長針・短針・サブダイヤル針のすべてにおいて、本来あるべき位置から微妙にズレてしまう場合があります。
ネット上の各種掲示板などで最も話題に上るのが ”秒針” なのですが、実は秒針に関しては、歯車のバックラッシュの関係でどうしようもない、と言われています。
時計好きにとってはその極わずかなズレが非常に気持ちの悪いモノなのですが、でも残念ながら、秒針に関しては 『こういうものだから仕方がない』 と諦めるしかないのかも知れません。
で、秒針の次に出てくるのが長針なのですが、以下、シチズンのアテッサ 『F900系』 の場合について調整の仕方を説明します。
F900系の場合、10秒毎に長針が1度(1分で6度、60分で360度)動くようになっているのですが、秒針が12時ちょうどの位置を指した時に、長針が1度分前後どちらかにズレてしまっている場合があります。
筆者個人的には、購入時の長針ズレに関しては、衝撃とか磁力というより、出荷時、あるいは販売店がお客さんに渡す際の初期調整誤差のような気がしているのですが、長針の場合は 『基準位置』 を修正することでこの誤差を正常な位置に戻すことが出来ます。
先述の通り、電波時計の場合は衝撃や磁力の影響でも針の位置がズレてしまう場合がありますので、今後はご自身で行うため練習の意味も含めて、基準位置の調整を行ってみるのも悪くないのではないでしょうか。
この基準位置修正の手順自体は メーカー取扱説明書(86ページ) をご参照頂きたいのですが、もしお手持ちの時計の長針が微妙にズレている場合、説明書内の 『秒針・長針・短針のすべてが12時位置に重なる状態』 になっている時点で同様にズレた状態になっているハズです。
ところが、実際に現物を目の前で見た場合、パッと見た目には綺麗に重なっているように ”見え” て、長針がズレているという事が非常に分かりにくいです。
実際、筆者の目には、長針が1度くらいどちらかにズレていても綺麗に重なっているようにしか見えず、もし仮に、時計店の人が販売時の調整でキチンと調整できていなかった事が原因だったとしても、それを責めるのは気の毒に思えてくるほどです。
ともあれ、この 『基準位置の修正』 を行うことで、秒針・長針・短針の各針を その針の最小稼働単位 で微調整することが出来ますので、長針の場合は竜頭をほんの少しだけ回すことで1度単位で調整を行うことができます。 ちなみに、この時ほんの僅かでも竜頭を回しすぎてしまうと、今度は逆の方に長針がズレてしまうことになります。
秒針の場合は最小稼働単位が6度(文字盤のメモリ1秒分の角度)となっているため、その6度の中で発生するバックラッシュのズレは調整することが出来ないのです。
皮や布など、ベルト式のバンドの場合は留め穴で調整できるのですが、金属製バンドの場合は特殊な工具が必要となるため、基本的には時計屋さんで調整して頂く方が良いと思います。
ですので、これは決しておすすめしたい訳ではないのですが、実は筆者の場合、学生時代からやっていたスポーツの影響で筋肉の付き方に若干特徴があって、腕時計を巻く左手首の断面図が、小指側の方が細い卵型のようになっています。
ですので、いつも腕時計の文字盤が小指側の方に傾いてしまって、時計を見ようとする度に ”よっこらせ” と右手で文字盤を起こしてやるようなクセが付いていたのですが、腕時計のバンドの親指側を1コマ短く、小指側をその分長くすることで、この症状がかなり改善されることに気が付きました。
ただ、これも季節や服装(袖の掛かり具合)によって微妙に付け心地が変わる部分があって、以前はその度に時計屋さんに持ち込んで調整してもらっていたのですが、ここ2年ほどは自分で行うようにしています。
先述の通り、決しておすすめしたい訳ではないのですが、もし筆者と同様に結構頻繁に微調整される方がおられるようでしたら、慣れてしまえば特に難しいことでもありませんので、ご自分で調整できるようになるのも楽しいかも知れないです。
※2017年2月追記 -----*
筆者の場合、いつも画鋲の針の先端を削って滑らかに磨いたものを使っていたのですが、最近は ”バンド調整キット” のようなものも出ているようです。